< 樋口一葉『五月雨』のあらすじと感想|恋は五月雨に濡れる | 世界の偉人たち

世界の偉人たち

現在と未来を創った人々の功績と人物像を紹介します

作品紹介

樋口一葉『五月雨』のあらすじと感想|恋は五月雨に濡れる

投稿日:2019年6月16日 更新日:

あじさい

この記事では、樋口一葉の小説『五月雨』のあらすじと感想、そして解説を書いています。二人の女性に愛された男性。しかしその二人にそれぞれ情を抱いた杉原三郎は、どのような決断をくだしたのでしょうか?

樋口一葉『五月雨』人物相関図

五月雨は典型的な三角関係をテーマとしています。

杉原三郎と、三郎を好きになる梨本優子と八重の3人が出てきます。

梨本優子と八重は主従関係なのですが、実はある秘密があります。

五月雨人物相関図

樋口一葉『五月雨』の概要

物語の終盤、杉原三郎が梨本優子と八重と三角関係となり、心を痛ませることとなります。

クライマックスで降る五月雨による暗さ、杉原三郎の迷いによる暗さ、そして二人の女性の心境を重ね合わせた象徴として『五月雨』とう題名がつけられています。

樋口一葉『五月雨』のあらすじ

富豪の娘であり、端麗な顔立ちの梨本優子(19)。侍女(貴人に仕えて身の回りの世話をする人)に1歳年下の八重がいる。優子と八重はとても仲が良く、優子からは本当の姉妹として扱われている。

優子は杉原三郎という男性に惚れており、それを打ち明けられた八重はその恋を実らせることを優子と約束する。

しかし、杉原三郎は八重の幼馴染で、八重の両親が亡くなってから八重は杉原三郎を探すために東京へ出てきたのでした。しかも優子と八重は実は乳姉妹であり、それを知った八重は優子に仕えるようになったのでした。

八重は恩のある優子のために、自分の思いは封印し、優子の手紙を三郎へ届ける。

杉原三郎は遂に優子と八重と出会いますが、八重の様子からすべてを悟り、以降彼女たちの前に姿を見せることはなかった。

五月雨で湿りがちなある日、気晴らしに出かけた先で一人の修行僧を見かけて見送りをする。

しかしその修行僧は実は出家した杉原三郎だったのだ。

樋口一葉『五月雨』の感想と解説

三角関係に悩んだ杉原三郎が思い悩んだ挙句、出家するというお話です。

杉原三郎の幼馴染である八重は、三郎のことが好きなのですが、八重に恩義を感じておりその気持ちを封印しています。

優子は連絡のない三郎のことを思い悶々とします。

それぞれ三者とも題名にある『五月雨』模様に心がなってしまうわけですね。

そしてまさにその五月雨の中二人は一人の僧を見かけるわけですが、それが杉原三郎だった、という落ちですね。

結局三角関係の中の誰一人として幸せにならない結末になっており、切なさが残ります。

なおこの『五月雨』に代表される樋口一葉の初期小説は、現代で言えば「恋愛小説」的なものが多く、あまり評価はされていません。

樋口一葉『五月雨』をより深く味わうには

以上で『五月雨』の紹介は終わりです。

樋口一葉の人生や時代背景について知ることができれば、『五月雨』もより深く理解できるようになると思います。別途記事にしていますのでご参照よろしくおねがいします。

樋口一葉|明治を生きた天才・貧乏女流作家の人生|意外な男性遍歴とは?

-作品紹介
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

闇桜

樋口一葉『闇桜』のあらすじと感想|樋口一葉の処女小説

この記事では、樋口一葉の小説『闇桜』のあらすじと感想、そして解説を書いています。兄妹のような仲睦まじい関係にあった二人の男女ですが、あることをきっかけに男女を意識するようになり、そのことが悲劇へと繋が …

ゆく雲

樋口一葉『ゆく雲』のあらすじと感想|恋心は雲のように流れる

この記事では、樋口一葉の小説『ゆく雲』のあらすじと感想、そして解説を書いています。継母に辛くあたられるが故に、心を閉ざしてしまったお縫と、その心を開けようとする野沢桂二。事態は一時好転の兆しを見せます …

この子

樋口一葉『この子』のあらすじと感想|子はかすがい

この記事では、樋口一葉の小説『この子』のあらすじと感想、そして解説を書いています。婦人雑誌に掲載され、文章読解力が低い当時の女性読者にもわかるような平易な言葉でかかれているため、それほど文学性はない作 …

琴の音

樋口一葉『琴の音』のあらすじと感想|男を救った琴の音

この記事では、樋口一葉の小説『琴の音』のあらすじと感想、そして解説を書いています。人の道を外れてしまった男が、少女の琴の音により更生するという物語になっています。 Contents樋口一葉『琴の音』の …

たけくらべ

樋口一葉「たけくらべ」のあらすじと感想|樋口一葉渾身の一作

この記事では樋口一葉の代表作である『たけくらべ』のあらすじと感想、そして解説を書いています。樋口一葉の作品で最も有名であり、よくできた余韻の残る作品です。有名であるが故に「たけくらべ論争」などが沸き起 …