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樋口一葉『花ごもり』のあらすじと感想|恋は制度に勝てないのか

投稿日:2019年6月30日 更新日:

花ごもり

この記事では、樋口一葉の小説『花ごもり』のあらすじと感想、そして解説を書いています。相思相愛の二人が家という制度のために犠牲を払い、女性が花に籠るさまが綺麗に描かれています。

樋口一葉『花ごもり』の概要

花ごもり』の題名の由来は明らかにはなっていません。

しかしながら、「お新」が「与之助」と別れて田舎へ住むことを決意する「花の中にこもっていく美しさと平和」や「恋をあきらめ田舎にひきこもろうとするお新の生き方」が題名になっていると思われ、与之助との別れを契機として田舎にこもる「お新」のことを指していると言われています。

樋口一葉『花ごもり』の人物相関図

『花ごもり』に出てくる主要人物は3人です。

相思相愛の瀬川与之助と、お新。

そして与之助の母親です。

『花ごもり』人物相関図

樋口一葉『花ごもり』のあらすじ

法学校を卒業し、出版部に勤務する瀬川与之助は、母「お近」と従妹の「お新」の3人で暮らしている。

両親のいないお新とは、いずれは夫婦になり子を作るつもりであった。

しかし、亡き父の友人の未亡人、お辰から「お広」との縁談が舞い込みます。お近は瀬川家のため「お新」のことを切り捨てて、この縁談を進めることを決意する。

与之助は縁にすがる出世に難色を示すが、お広のことを気に入ったため、お辰にそのことを伝えます。

お新はお近から他家へ移るよう促され、田舎の画家夫婦の家を選ぶのでした。

お新は与之助に、絵を習い、恋しい時には姿を描いて心を慰めると伝えた。与之助はそれを聞き、一人胸のうちで泣くばかりであった。

樋口一葉『花ごもり』の解説と感想

相思相愛であった与之助とお新でしたが、与之助に縁談が舞い降ります。与之助は「お広」と会い、その性格を気に入ってしまい、家のためにお新を切り捨てます。

しかしお互い気持ちは残ったまま、悲しい別れとなる、という結末ですね。

樋口一葉の小説は、恋愛関係に敗れてしまうと死を選ぶ登場人物が多かったのですが、お新は「恋しい時にはあなたの絵を書く」と言い田舎に引っ込みます。

死を選ぶ結末より、「身を引いてなおあなたを思い続ける」という結末はあきらかに綺麗ですよね。題名もそれを反映して「花」という字が入っていますし。

一方でお新を切り捨てた、与之助はどうでしょうか?

お広を選んだにも関わらず、お新との別れの際には胸のうちで泣くと言う女々しさですね。

しかしながら、別れの原因は「家の繁栄」であり、制度ですね。

樋口一葉の小説は、この制度や風習により悲劇的結末を迎える小説が多いです。この『花ごもり』も同様で、個人の感情(お新への個人的な思い)よりも、お近に促されたこともありますが、「家」を優先したことが相思相愛であった二人の別れに繋がっています。

身を引いて相手を想う美しさと、「家」のために別れを選択せざるを得ないことへの憤怒をこの小説からは感じ取れます。

『花ごもり』をより深く味わうには

以上で『花ごもり』の感想は終わりです。

樋口一葉の人生や時代背景について知ることができれば、『花ごもり』もより深く理解できるようになると思います。別途記事にしていますのでご参照よろしくおねがいします。

樋口一葉|明治を生きた天才・貧乏女流作家の人生|意外な男性遍歴とは?

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