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樋口一葉『別れ霜』のあらすじと感想|死別して7年後の決意

投稿日:2019年6月16日 更新日:

霜

この記事では、樋口一葉の小説『別れ霜』のあらすじと感想、そして解説を書いています。親の策略により引き裂かれた相思相愛の男女。二人は死を選びますが、女は生き残ります。生き残った女は監視の元、死ぬことを許されず7年が経過し・・

樋口一葉『別れ霜』の概要

江戸時代より「八十八夜の別れ霜」という言葉があり、これは立春から88日目に降りる霜のことを言います。「八十八夜の別れ霜」はこの季節の最後の霜で、これ以降は霜は降りないとされています。

小説末尾部分に「血汐は残らぬ草葉の緑と 枯れわたる霜の色かなしく照らし出す月一片」という表現があり、主人公お高と芳之助の別れを「別れ霜」で象徴させているものと思われます。

樋口一葉『別れ霜』人物相関図

『別れ霜』の主要人物は二人、「お高」と「芳之助」です。

二人は相思相愛なのですが、野心家で、お高の父である新田運平にその運命を狂わされていきます。

別れ霜人物相関図

樋口一葉『別れ霜』のあらすじ

呉服商新田家の一人娘お高は、評判の美女であり、隣町で同じく呉服商を営む本家の松沢芳之助と許嫁関係にある。二人の関係は良好で、相思相愛の仲でした。

お高の父、「運平」は野心家であり、本家を利用していましたが、ついには番頭の勘蔵と共謀して本家を乗っ取ることに成功し、それにより芳之助とお高は離別の道を歩まざるを得なくなってしまいます。

乗っ取られた本家の芳之助は人力車夫(低賃金の職業)となり、両親を養うことになります。

ある雪の夜、お高は偶然芳之助が引く人力車に乗ることになりますが、それに気づかぬ芳之助。お高は割烹料理屋へ行き、お高を責める芳之助に心情を吐露します。

和解した二人は再会を誓い合い、お高は芳之助の両親に許しを請うが両親はそれを許しません。結ばれることが無いと悟った二人は心中をすることを決意するのでした。

しかし心中を決行したその時、医師とお高との婚姻を目論む父「運平」の命令によりお高を監視をしていた「勘蔵」がお高を救います。

その一方で芳之助は死に、一人お高は残されてしまいます。残されたお高は医師との結婚を拒み続け、父の監視の元7年が経過します。

お高がやっと医師との結婚を納得したある日の明け方、お高は家を抜け出し芳之助の後を追うのでした。

樋口一葉『別れ霜』の感想と解説

相思相愛の二人が、父親の野心により引き裂かれます。

しかし誤解は解け、二人は再び愛し合うこととなりますが、周りがそれを許さない。

心中を決意した二人ですが、芳之助は死に、お高だけが生き残る結果となります。

監視され続けたお高は7年という時を経て、心中を誓い合った芳之助の元へ逝くというお話です。

テーマは純愛ですね。ロミオとジュリエットと少し話が似通っています。

裏切られて華やかな生活から、貧困生活へと転落した芳之助。しかし、偶然の再会にが二人を再び引き寄せていく様子は美しいですね。美しいから故に、結ばれることがないことが分かった時の悲劇はより深くなります。そしてお互いが死ぬことすら許されない。

監視された7年間、お高は芳之助を思い続けてやっと死ぬことができたわけですね。その思い続ける気持ちもまた綺麗ですが、悲しみも大きい物語と言えるでしょう。

樋口一葉『別れ霜』をより深く味わうには

以上で『別れ霜』の紹介は終わりです。

樋口一葉の人生や時代背景について知ることができれば、『別れ霜』もより深く理解できるようになると思います。別途記事にしていますのでご参照よろしくおねがいします。

樋口一葉|明治を生きた天才・貧乏女流作家の人生|意外な男性遍歴とは?

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